2013年8月29日木曜日

禅語百選 松原泰道

おのれこそ おのれのよるべ おのれをおきて誰によるべぞ
よく調えておのれにこそ まこと得がたきよるべをぞ得ん
挨拶 挨は近づくこと 拶はひきだすこと
作務 
言葉に込められた いのり 願い いのち

第一章 不立文字
存在するもの全てが真実を語っている
峰の色 溪の響きもみなながら わが釈迦牟尼の声と姿と

柳緑花紅
   眼横鼻直(がんのうびちょく)  明歴々 露堂々
子生而母危(こうまれてははあやうし)
  何の喜びか憂いに非らんや  何の憂いか喜びに非らんや
  両忘
  対比の世界から全てをそのまま受け止める世界へ
放下著   捨ててしまえ
  相対的な計らいから離れる
  人生という旅で担いだ荷物 自分で担ぐしかない
真空不空
  かたよらないこころ こだわらないこころ とらわれないこころ
不雨花猶落 無風絮自飛  あめならずしてはななおおつ かぜなくしていとおのずからとぶ
  けれども時間を守ります そうしてさっさと帰ります
  花は咲いたときすでに散る因を内在している
  さめても胸のさわぐなりけり
山花開似錦 澗水湛如藍
  無常迅速 時 人を待たず
一期一会
   一期 ひとの一生  一会 ただ一度の出会い
   会者定離  すべてに丁寧にあれ
   逢うてわかれて わかれて逢うて 末は野の風秋の風 一期一会のわかれかな
風来疎竹 風過而竹不留声
   いつまでも執着して 精神を浪費するような愚かなことをせず 心の空であることを学ぶ
竹影掃階塵不動

両頭倶截断一剣倚天(てんによって)寒(すさまじ)
  相対的認識  対立と比較   ある立場から見る
  相対的ものの見方を捨て去る  一段論法  空の境地
両忘
  二元的な考えを脱しきった心境
  生きるときは精一杯生き 死なねばならぬときは大いなるものに任せ切る
不思善 不思悪
  相対的認識を空じつくした境地   二見対立から迷いが生じる
本来面目
   本来の自己 真実の自己 純粋の人間性 もうひとりの自己
和敬清寂
    和合 ≠ 混合
    相互の味を生かしつつ 第三の風味が生まれる
   寂 煩悩の火が静まる
莫妄想
   莫煩悩 
   逆境が人をダメにするのではなく その時に生じる妄想や煩悩が人を食い殺す
破草鞋 はそうあい 破れた草鞋
黙々与天語 黙々与天行
  黙 ありのままの真実の相   語との対比ではない
実相無相
  不安定な現象的存在の底に 安定した変わらぬ実相がある
  素直に感じて しかもそれに執着しない
白馬入芦花
  差別即平等 平等即差別
  主客ともに一色となり区別できないほど充実
銀椀裏盛雪
不風流処也風流  ふうりゅうならざるところやふうりゅう
  数寄 奇数 割り切れないところがまた風流
関 かん
  門司の関まだ越えやらぬ旅人の 陸奥をばいかに知るべき
  文字                  道の奥
  道と言われるものには 自我を出しては通行を許されぬ関所がある

  心の安らぎを得るには 相対的見方を脱しなければならない
無功徳
  ただ無心に 黙々と善事を重ねる深いこころの開発

第二章 教外別伝
啐啄同時
話尽山雲海月情 かたりつくす さんうんかいげつのじょう
  人情の極地の描写
  さらには自然の妙趣の表白
  ありのままの自然から何かを感じ取る働きを人は具有している
掬水月在手 弄花香満衣
  水うてば 葉ごと葉ごとの月夜かな
  普遍的にある真実を実践によって感じ取る
  ほとけ 座禅・念仏などの実践により実感
随処作主 立処皆真
   どこにあっても自分を惜しまず投入し 真実のいのちにめぐりあう
   六然 自処超然(自分にとらわれず脱けきる)
       処人超然(人にはいつも和やかに)
       有事斬然(ことあれば活気に満ち)
       無事超然(無事なれば心澄み)
       得意澹然(得意の時はあっさりと)
       失意泰然(失意の時もおちついて)
勢不可使尽  福不可受尽
  調子に乗らない 控えめに 程を知る    人知れず徳を積む
規矩不可行尽  好語不可説尽
可及其智  不可及其愚
  理性 智 論理 などで計れぬ 偉大な愚を学ぶ必要がある
一日不作 一日不食  
   べからずではない  作務を怠れば 勤めを果たさなければ 食べられない
歩歩是道場
  私たちの一歩一歩、言動の一つ一つが修行
  真理のど真ん中で生活している
  一足三礼      歩歩清風起こる
曹源一滴水
  慧能  ここから禅宗が始まった
  おがむこころ 一杯の水といえども天地の賜物

  自ら活動して 他を動かしむる
  つねに己の進路を求めてやまざる
   障害にあいて激しくその勢力を百倍しうる
  自ら潔ようして 他の汚濁を荒井 清濁をあわせ容れる
  洋々として大海をみたし 発しては雲となり 雨雪と変じ 霧と化す
     凝っては玲瓏たる鏡となり しかもその性を失わざる
喫茶喫飯随時過
甘味 苦味 渋味
喫茶去         
茶味禅味 味々一味         法令無親        経行(きんひん)
百尺竿頭進一歩
与天下人 作陰涼 てんかのひとのため いんりょうとならん
人生の生きがいはその人のもの 深く自己に沈潜する
体を動かすのも 坐禅をするのも 自分のこころをめざめさせる道場
技術はあけっぴろげ 隠していない 盗めば良い
どの道でも 徹するには甘えた気持ちや 世慣れた妥協は許されない
頭陀(ずだ) ものに執われない  何者にも執着しない
天上天下唯我独尊 宇宙の隅々 いつ どこ 誰も 何でも 仏のいのちをいただいているから 存在する万物は 皆 尊厳である
心を 強く 広く 深く 暖かく
いま ここ この自分の心を 凝視する
滅却心頭火自涼  ひ おのずから 涼し
 寒暑を苦楽のどちらに決するかは自分の側にある
 寒いままに 暑いままに それらに振り回されない  同化 一体化
時時勤払拭 じじにつとめてふっしきせよ
本来無一物
看却下 暗夜行路 心の灯 自己の中に灯を持つ 依頼心を捨てよ
日々是好日  
  晴れた日は晴れを愛し 雨の日は雨を愛す
     楽しみあるところに楽しみ 楽しみなきところに楽しむ

第四章 知恵  見性成仏
自灯明 法灯明
大死一番
八大人覚  少欲 寂静 精進 不忘念 禅定 修智慧 認識 知足
坐 土の上に人二人 仏と凡夫 この二人の対話が多いほど 心潤う 深まる 独坐大雄峰
一華開五葉  大円鏡智 平等性智 妙観察智 成所作智 法界体性智
無一物中無尽蔵
迷己逐物  おのれにまよって ものをおう

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